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風見鶏の寝言034

「狐か命か」


これは実話である。

平成13年10月8日午後8時頃、北海道函館付近を縦断する高速道路を走行中の普通車が、前方に飛び出したキツネを咄嗟に避けようと急激にハンドルを切った結果、横滑りし、中央分離帯に衝突し、停止。直後に、後続車に衝突され、運転者は頭蓋骨付近に骨折等の傷害を負い死亡した。



この事件は、その後、国が動物侵入防止の柵でも設置していれば防げたのではないかとして、訴訟問題となったが、最高裁は3点ほど指摘して、国に責任があるとまでは言えないとした。
(法律問題の詳細はカットしています)

1、

走行中の自動車がここで問題となった道路に侵入したキツネ等の小動物と接触すること自体により、自動車の運転者等が死傷するような事故が発生する危険性は高くない


2、

金網の柵を地面との隙間無く設置し、地面にコンクリートを敷くという小動物侵入対策が全国で広く採られているという事情はない(つまり、他と比べて特にここだけ設備が劣っているわけではないということ)


3、

この道路には動物注意の標識が設置されていた





さて、この事件を知ったとき、法律には入らずに一般的に考えて、手放しで納得できるという人はどれくらいいるだろうか?


○賛成派ならこういうだろうか?

意見1

そりゃ、あんなだだっ広い北海道の国道全部に柵なんか設置して回ったら、えらい費用がかかるし、今回の道路には一応有刺鉄線の柵はあった

人口も減りかけで、通行量も減ってる今、そんなことしても自治体は赤字が膨らむだけ

年間あたりの小動物の轢死事故は多いとまでは言えないし、大して混んでるわけでもないなら、運転者が注意してればいいだろう

何かする必要はない



意見2

それは、道路に文句を言うより、もう日本で半世紀以上も車が売られていながら、未だに自動回避機能を登載させずに、運転者に全ての運転制御を委ねている車の性能の方を問題にすべき

文句の相手が違う

何かする必要があるのは国ではない



意見3

小動物といえども、厳しい自然競争で生き抜いたものだけが子孫を残すのは、どこでも同じ

車に轢かれたとしても、環境に適合できなかった固体が死ぬだけで、総体的に見るとキツネの個体数が増えすぎるのを抑える食物連鎖の一部的な役割を果たしているのではないか

そもそも無理して避ける必要はなく、飛び出した動物をおおげさに回避したのが、運転者の技能不足だっただけではないか

国は悪くない




○一方、反対派ならこういうだろうか?
(反論形式で書くため、長くなる)

意見A(⇔意見1)

有刺鉄線の柵があったとしても、事故の主原因になるキツネ等の小動物の進入を防止するのに全く役に立っていなかったのであれば、それはそもそも柵として何の機能も果たしておらず、進入防止の措置を講じて「あった」とは言えない

この道路では年間数十件の小動物轢死事故が起きており、平成6年にも、小動物との接触関連で1人死者がでていた以上、稀とは言えないし、最高裁が言うほど「危険性が高くない」とも言えない

高速道路であり、100キロ近く出す車が多い中では、運転者の注意と回避技能には限界がある

特に今回は午後8時であり、辺りは暗くなっていて、ライトに何かが映っても高速走行中では、それが動物か人か瞬間的に見分けることは困難であり、万一人だった場合を考えて、咄嗟にハンドルを切って回避行動に出るのは、当然

ドライバーに任せるのが困難なら、金を理由に命を見捨てることは許されず、道路を管理する国が何かしらするべき



意見B(⇔意見2)

車自体が改良されるべきなのは、望まれることではあったとしても、利益追求が目的である企業にそれを望むのは、そうした方が利益が上がるという事情がない限り、国以上に難しい

意見Aの事情も考えると、企業に全部を押しつけるのではなく、国も何かしら少なくとも一部は措置を講じるべき



意見C(⇔意見3)

もし本当に食物連鎖の捕食者的地位の役割を果たしているならば、寧ろ飛び出した小動物はきっちり始末した方がよいことになる

しかし、高速走行中に飛び出した「何か」を瞬間的に小動物だと断定することは非現実的(意見A参照)であり、運転者の技能不足とは言えないし、動物飛び出し注意の標識は、一定程度の注意を喚起し得ても、断定できる根拠にはならない
※現に、キツネの飛び出しにより被害者の車が事故を起こした2分後に走行してきた後続車も、事故を起こして「止まっている」被害者の車でさえ十分に事前に発見して回避することができず、衝突した

さらに、小動物を轢き過ぎろという要請が、国民の常識に沿っているとは言えない



ちなみに、道央自動車道の現場付近はこんな感じである
foxspot.jpg


反対派の人が、国に何をせよと求めているのかは、次の問題であるから、ここでは触れていないが、いざ何かするという段になったときは、これも大きな問題となるだろう。

私は、世論的にみると、けっこう賛否は半々に分かれるかもしれないと思っているが、議論させてみたとき、読者の方々は、どっちの方が説得的と思うだろうか。


ちなみに、筆者も、数年前北海道で国道走行中に、目前をネズミを咥えたキツネが2跳びで横断し、運転していた友人が急ブレーキを踏んだという経験がある。

そのときは、まだ17時くらいだったので、人でないことはわかったが、僅か1秒足らずのあの瞬間に小動物であることを認識し、且つ、後続車を確認して、いればそのまま轢きすぎる覚悟で走行、いなければブレーキを踏むという判断をすることは困難に思えた(ほぼ誰でも咄嗟にまずブレーキを踏むように思われる)

また、今年東京23区内でも、街中走行中に、目前をハクビシンが通過したこともある
こちらは、街中であり、動物注意の標識は無論なかったが、速度は30~40キロしか出ていなかったため、判断は格段に容易だったことを考えると、標識の有無はほとんど関係なく、速度がいかほど出ているかこそが核心的な問題なのではないかとも思う
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