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風見鶏の寝言059

「マジヤバイ前編」





10年前頃から、若者の「ヤバイ」という単語は、コミュニケーション力低下や語彙力低下の原因として、問題視されているようである。

しかし、語彙力の低下批判は横に措くとして、そのような新たな使用方法が普及、そして定着したことは、如何なる意義を有するか

2つほど見いだすことが可能なのではないかと思っている。

長くなるので、2話に分割する




さて、例えば、

A「あのケーキ屋、マジヤバイよな」
B「あぁ、ヤバイね」


という会話文があったとする。


元来「ヤバイ」という単語は、何らかの形容表現と接続し、その程度が甚だしいことを示す副詞的単語であった

そのため、接続するはずの形容表現を省略し、「ヤバイ」だけを使うようになると、それは極めて広い内容を意味しうる代物となった

01、とても+美味しい
02、とても+不味い
03、とても+ケーキの装飾が綺麗
04、とても+ケーキの装飾が下手
05、とても+量が多い
06、とても+量が少ない
07、とても+値段が高い
08、とても+値段が安い
09、とても+カロリーが高い
10、とても+カロリーが低い
11、とても+新しくて店内が綺麗
12、とても+古く店内が不潔
13、とても+人気で混み具合が凄い
14、とても+閑散としていて人の入らなさ具合が酷い



要するに、ケーキに関連しうる全ての形容表現を意味できるのである。

それは、使い回しの効率が良く、頗る便利な反面、「ヤバイ」という単語だけでは、相手の意図するところを判読できないことをも意味する。

したがって、相手の話に付き合うならば、「どうヤバイのか?」次に尋ねることになる。

それは、先に相手の注意を引きつけ、その後で如何なる点について話しているか説明するという順序になっている

つまり、「ヤバイ」という単語自体は、本来の副詞的機能の他に、相手の注意を引きつける感嘆詞的機能も担っているようである

本来の品詞とは異なる品詞の昨日を獲得することが現代語の言語学的観点から、珍しい現象なのか、そうでもないのか生憎私は詳しくない


さらに、もう一つ。

感嘆詞として作用するために、「ヤバイ」という単語は、その係っていく形容表現の提示を後回しにして、とにかく「程度が尋常ではない」ことを前面に押し出す機能を持つ

本来ならば、先に形容表現が話題に上り、それからその程度が著しいことを強調するという順序になる。

「ヤバイ」という単語は、この順序を謂わば倒置し、「程度の著しさ」を強調している

つまり、もともと強調語である「ヤバイ」という単語は、強調表現としての強調の程度を強化されたことになるのかもしれない。



勿論、「ヤバイ」を用いる全ての会話文がこのような「形容表現を欠いた」不完全な形でなされているわけではない

しかし、幸か不幸かこの単語は、そういう不完全な会話ですら成立させることができる単語なのである。
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