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風見鶏の寝言090

「犯人に告ぐ」




万引き犯人と考えられる者の防犯カメラ映像をネットに公開することは合法か違法か。

25万円の玩具の万引き事件をきっかけに、俄に大きな話題となった問題である。

世間の話題は、2つに集中した。

1つは、警察が公開中止を要請したことにより、結果的に公開しなかったのが、妥当か不当かという点。

もう1つは、窃取物の返還をしなければモザイクのない防犯カメラ映像を公開すると告知することで返還を促す方法が、合法か違法かという点。





最初の点は、要するに、公開しないよう求める警察の要請に従うべきか否かという話である。

これについては、警察に背いてでも公開すべきとする論は、感情論に近い。

つまり、個人的に警察捜査に対して持っている感情の問題である。

優秀だと肯定的な感情を有するか、検挙が遅いと否定的な感情を有するか、による。

したがって、妥当とみるか不当とみるかは、人によるとしか言えない。



しかし、もう1つの問題、手段が合法か違法かという点は、案外込み入った問題ではないかと思う。

「窃取物を返さなければモザイクのない画像を公開すると告知することで返還を促す」方法について、公開しない方がいいとする立場からはこんな意見がある。

(1) その手段をとること自体が脅迫罪にあたり、この脅迫を窃取物の返還の手段として使うならば、恐喝罪にあたる可能性がある

(2) 画像を、張り紙を超えて、ネットに公開することは、真実の犯人だとしても名誉毀損になる可能性がある

(3) 公開された場合、顔が似ている人が犯人扱いされる等の被害にあう可能性がある



これらの意見は確かにある程度説得力がある。

まず、(3)につき、問題は、日頃警察が犯人像の顔写真を公開している点とどう違うか、というところにある。

警察は、指名手配犯の画像と、その他公開捜査に踏み切った場合の画像を公開している。

各交番横の掲示板の他、各地方の警察署HPに行けば、誰でも見ることができるようになっている。
例:警視庁HPはこちら

このように警察が公開する場合と、店が返還を促すために防犯カメラ画像を公開する場合と、どこに差があるか。

警察が指名手配する場合には、通常は相当程度捜査が進み、逮捕状の発付まで受けている場合である。

その意味では、単に店が犯人だと思った者の画像を公開する場合とは異なる。

しかし、警察は指名手配された者以外にも公開している。

つまり、逮捕状の発付を受けるほど犯人との確信がない者でも公開している。

この場合、大抵は被疑者の名前も判明していない。

だとすれば、公開ができるために、犯人であることの確信までは、必ずしも必要無いことになる。

さらに、名前すら分かっている必要はないことになる。

名前すらわからない場合でも公開されているならば、警察が公開している場合でも、似た顔の者が犯人扱いされる被害を受ける可能性はある

それでも尚公開ができるということは、(3)の理由は、警察が公開する場合がよくて、店が公開する場合がダメである理由にはならない

次に(2)について、マスコミが公開捜査となった事案の被疑者について報道するのは、大抵は裁判の始まる前である。

裁判の前ということは、犯人なのかどうかは決まっていない。

逮捕前の報道なら尚更である。

しかし、一般にマスコミによる犯罪報道は公益を図るためであることから(よほど酷い場合でなければ)名誉毀損にはならない。

そしてこれはマスコミだけに与えられた特例ではない。

したがって、店が公開する場合でも公益を図るためであるならば、名誉毀損にはならないことが多いと思われる。

つまり、何のために公開するかが重要になるのではないか。

今回の場合、店は窃取物の返還を促す手段として画像公開をすると言っていた。

だとすると、(モザイクのない)画像を公開する直接の理由は、「物を返さないから」であって、犯人検挙(=公益)のためと言いにくい場合になっている。

さらに、実は(1)も、同じ点について、(モザイクのない)画像の公開と、「物を返すこと」が強く連動しているために出てくる指摘である。

即ち、「公開するぞ」と告知することが、「物を返させること」に向けられたものであるということである。



すると、公開が「物を返させること」に向けられていない場合であったならば、話は異なる可能性がある

例えば、店の告知文が次のような文面の場合が考えられる

「(モザイクのある)写真の者が万引き犯と思われます。速やかに窃取物の返還を求めます。なお、今後犯人検挙のため、モザイクのない画像を公開する可能性があります。」


また

「(モザイクのある)写真の者が万引き犯なり。速やかに窃取物の返還をされたし。尚、警察との相談の上、モザイクのない画像を公開する可能性あり。」


のように、警察の指導を仰ぐとしたならば、公開の正当性はさらに上がるだろう。


今回、警察が店側に公開の中止を要請したことから、店が防犯カメラの(モザイクのない)画像を公開することが、一切できないと結論づけるのは早合点だろう

そういうわけで、全国の万引き被害店と、警察との間における、画像公開の限界点の模索は、いましばらく続くと思われる。
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